歯の役割としくみ(かむことの大切さ)<歯の健康の基礎知識1>

高柳篤史 先生 (高柳歯科医院副院長)

2018年12月27日

私たちの健康な暮らしに欠かすことのできない歯。食べること以外にも大切な役割があります。

健康な暮らしに欠かせない、大切な歯

歯は、私たちの健康と深くかかわっています。歯や歯肉が健康で、ものがよくかめれば、胃や腸に負担をかけずに、全身に栄養をいきわたらせることができます。

また、会話がスムーズにできるのも、歯がそろっていて、はっきりと発音できるおかげです。このほか、歯ざわりや歯ごたえを楽しみ、味覚を豊かに保つ、美しい表情をつくるなど、歯のはたらきはさまざまで、しかも、健康的な生活をする上で欠かせないものばかりなのです。

歯には、食べ物をかみくだく、発音を助ける、顔の形を整える、表情をつくる、歯ごたえを楽しむといったさまざまな働きがあります。

歯が1本でもなくなると、さまざまな弊害が!

歯は、たった1本失われても、正常な働きができません。たとえば、大臼歯(奥歯)が1本なくなっただけで、ものをかみくだく能率は約40%も低下するといわれています。このため、消化器官に負担がかかり、栄養の吸収が悪くなるという悪循環が生まれます。

また、上の前歯が抜けるとサ行、奥歯が抜けるとハ行、ラ行が発音しにくくなって、言葉が不明瞭になったり、顔の輪郭が変わって、表情が老けて見えたりします。

このように、健康な歯は、健康なからだを支え、私たちに快適な暮らしをもたらします。大切な歯を守る正しいケアを、ぜひ今日からはじめてください。

いま、あなたの歯は何本ある?

みなさんは、自分の歯の数をご存じですか。成人の歯は通常28本。「親知らず」と呼ばれる第3大臼歯4本を加えると32本になりますが、最近では生えない人も多いようです。

これらの歯は、「切歯」「犬歯」「臼歯」の3種類に分けられ、また、歯肉から上に見える部分を「歯冠」、歯肉に隠れている部分を「歯根」といいます。

歯は、「エナメル質」「象牙質」「セメント質」から成り立っています。エナメル質はからだの中でもいちばん硬い組織で、水晶に近い硬度です。また、歯の中心部には、神経や血管が入り込んだ「歯髄」という大切な組織があります。

永久歯の種類と配列

歯は「エナメル質」「象牙質」「セメント質」から成り立っています。

歯を失う主な原因は、むし歯(虫歯)と歯周病

一生、自分の歯でおいしく食べるためには、この歯を1本でも多く、健康に保つことが必要です。しかし40歳をすぎると、私たちの歯は、むし歯や歯周病などによって、次第に失われていきます。厚生労働省の調査によると、60歳で平均23本、70歳では平均19本にまで減っています。

それでは、年とともに歯が抜けるのは仕方のないことなのでしょうか。そうではありません。むし歯や歯周病は、老化ではなく、立派な「病気」です。毎日の適切なケアによって防ぐことができます。歯は本来、からだの中でも丈夫な器官。ケア次第で、一生使えるものなのです。

2018年「第2回 永久歯の抜歯原因調査 」(8020推進財団)より作図

平成28年「歯科疾患実態調査」(厚生労働省)より作図

見直したい、かむことの大切さ

かむことは、食べ物の栄養を取り入れる以外にも、人間の健康のために、さまざまな役割を果たしています。まず、かむことによって、唾液の分泌がよくなります。唾液には、消化を助け、口腔内を清潔にする働きがあります。

また、かむという機械的な刺激が、頭やあごの骨、顔の筋肉の発育を促し、表情豊かな顔をつくるほか、大脳の働きを活性化します。さらに、かみごたえのあるものをかみくだく爽快感はストレス解消になるといわれています。

よくかむことは、あごの発達を促すことにもつながります。日頃から、よくかむことを心がけましょう。

Page Top