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尿もれ・頻尿・膀胱炎を防ぐための基礎知識【泌尿器の仕組みと働き】 new よく見られている記事

2018年11月22日

排尿のしくみは、脳と自律神経などでコントロールされています

尿とは、腎臓に流れ込んだ血液がろ過されたもの。水分、不要なミネラル、老廃物などが含まれています。腎臓でつくられた尿は腎盂(じんう)に集められた後、尿管を通って膀胱にたまり(蓄尿)、尿道を通って体外へと排出(尿排出)されます。

<泌尿器の仕組み>
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膀胱は伸縮する臓器で、蓄尿する間は弛緩します。同時に、尿道の周囲にある尿道括約筋(骨盤底筋群の一部)がきゅっと収縮することで、尿をもらすことなくためています。反対に、尿を排出する間の膀胱は収縮し、尿道括約筋は弛緩します。

これらの動きをコントロールしているのは、脳からの指令や自律神経です。蓄尿のときは主に交感神経が働き、尿排出のときは副交感神経が働きます。

<蓄尿と尿排出の仕組み>

膀胱と尿道括約筋が弛緩・収縮することで、尿をためたり排出したりしている

膀胱と尿道括約筋が弛緩・収縮することで、尿をためたり排出したりしている


 
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トイレに行く回数は1日6回前後が平均、尿の量は1日1,000~1,500mlです

成人の1日の尿量は一般的には1,000~1,500mlで、気温や水分摂取量によって変化します。尿の回数は朝起きてから寝るまでの間に6回前後が平均で、7回までが正常とされています。65歳を超えると、就寝中に1回程度起きる人が増えます。

体格によって異なりますが、成人が膀胱にためることのできる最大量は200~500ml。「おしっこをしたい」と尿意を最初に感じるのは、150~200mlほどたまったときです。その時点から30分~1時間くらい我慢できるのが正常とされ、昼間の尿のペースは3~4時間ごとというのが好ましい状態です。

これらの数値と少し違うからといって異常があるというわけではありませんが、日常生活に著しい不便を感じている場合は受診をおすすめします。「排尿時に痛みを感じる」「尿がとても出にくい」「水分のとり方を変えていないのに、排尿の量が異常に少ない、または多い」「尿の色が変わった、悪臭がする」という場合は、病気が潜んでいる可能性も考えられるので、病院へ行きましょう。

男性の尿の悩みには、男性特有の前立腺と長い尿道が大きく関わっています

男性の尿道は約15~20cmと女性よりも長く、膀胱から尿道口までの間に尿道が2カ所で屈曲しています。尿道には男性特有の前立腺という臓器がぐるりと巻きついています。前立腺には精液の一部をつくりだす働きがあり、その下にある骨盤底筋は排尿にも関わっています。

<男性の骨盤内臓器>

男性の尿道は女性より長く、2回曲がっているのが特徴。また、女性にはない前立腺が尿道を取り囲んでいる。膀胱の下にある骨盤底筋群には尿道や肛門を締める役割がある

男性の尿道は女性より長く、2回曲がっているのが特徴。また、女性にはない前立腺が尿道を取り囲んでいる。膀胱の下にある骨盤底筋群には尿道や肛門を締める役割がある

 

前立腺は加齢とともに肥大し、膀胱や尿道を圧迫するようになります。すると、「すぐにトイレに行きたくなる」「尿がすぐに出ない」「残尿感がある」といった現象が起きます。

尿をすっきりと出し切ることができず、排尿後に数滴もれてしまうのも、前立腺肥大による症状として知られています。しかし、若い年代の人でも、下着をしっかり下ろしきらず、尿道をきちんと下に向けないまま排尿すると、尿道に残った尿がポタポタと垂れてしまうことがあります。その場合は、前立腺よりも下に尿が残っている感覚があるので、排尿後のもれが気になる人は注意して確認してみてください。

前立腺が肥大している人には、膀胱が過剰に活動しているケース(過活動膀胱)が多くみられます。過活動膀胱では、膀胱に尿がたくさんたまっているわけではないのに膀胱が過敏となり、強い尿意を感じ頻繁にトイレに行きたくなります。

また、前立腺肥大により排尿がスムーズにできなくなり、膀胱に尿が残ったまま排尿を終えた結果、次に尿意をもよおすまでの時間が短くなることでも、頻尿を招きます。

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女性の尿の悩みには、短い尿道と骨盤底筋群が影響しています

女性の尿道は男性よりも短く、たった3~4cmほど。尿道の入口と、膣、肛門の距離が近いこともあり、細菌が尿道から侵入しやすく、すぐに膀胱に到達してしまいます。膀胱炎が女性に多く起きるのはこのためです。

しかも、女性の尿道はまっすぐ下へと伸びているので、男性に比べて尿もれ(尿失禁)をしやすい傾向もあります。骨盤内にある臓器をハンモックのように支えている骨盤底筋群という筋肉が、加齢や妊娠出産、便秘や肥満などでゆるむことでも、尿のトラブルが起こりやすくなります。

<女性の骨盤内臓器>

男性よりも短い尿道が真下へ伸びているのが女性の特徴。女性の骨盤底筋群は、尿道や肛門を締めるだけでなく、子宮や膀胱、直腸などの臓器を支える役割も担っている

男性よりも短い尿道が真下へ伸びているのが女性の特徴。女性の骨盤底筋群は、尿道や肛門を締めるだけでなく、子宮や膀胱、直腸などの臓器を支える役割も担っている

多くの臓器を支える骨盤底筋群がゆるむと、尿もれや頻尿が起こります

女性の尿もれの多くは、お腹にかかった力(腹圧)によって、ゆるんでいた骨盤底筋群が尿道を締めきれなくなったときに起こります。骨盤底筋群は男性の体内にも存在しますが、女性の骨盤底筋群のほうがたくさんの臓器を支えているので、尿の悩みと直結します。

骨盤底筋群がゆるんでいる場合、せきやくしゃみ、スポーツなど、お腹に力が入る動作をすると、腹圧により膀胱や尿道が押されて尿もれしやすくなる

骨盤底筋群がゆるんでいる場合、せきやくしゃみ、スポーツなど、お腹に力が入る動作をすると、腹圧により膀胱や尿道が押されて尿もれしやすくなる

 

膀胱がいわゆる知覚過敏になっている(過活動膀胱)人も、尿もれや頻尿になります。膀胱には少量しか尿がたまっていないのに、ささいな刺激に膀胱が過敏に反応して切迫した尿意をもよおしてしまい、「頻繁にトイレに行く」「急いでトイレに入っても間に合わない」という現状が起こります。また、膀胱炎にかかった場合も、膀胱が過敏になり、トイレが近くなります。

尿もれや頻尿に悩む女性には、骨盤底筋群のゆるみと膀胱の知覚過敏の両方の状態を抱えている人が多いことも覚えておきましょう。

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女性がかかる膀胱炎のほとんどは「細菌性膀胱炎」です

一般に「膀胱炎」といえば、尿道から侵入した大腸菌などによって膀胱の粘膜が炎症を起こす「細菌性膀胱炎(急性単純性膀胱炎)」を指し、頻尿や排尿時の痛みが急に現れるのが特徴です。それ以外にも、尿が白く濁る、残尿感がある、血液が混じった尿が出る、尿のニオイが強くなるといった変調に気づいたら、受診してください。

治療により膀胱炎が完治しても、頻尿や尿意切迫感がある場合は過活動膀胱、尿がたまると激しい痛みがある場合は「間質性膀胱炎」の可能性があります。詳しい原因はわかっていませんが、膀胱の粘膜の下にある間質という部分の炎症が引き金となり、膀胱が委縮するためといわれています。

細菌性膀胱炎を完治しないままにすると、膀胱内の尿や菌が逆流することで、細菌が腎盂を通じて腎臓に感染し、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」になるケースもあり、重症化すると命にかかわります。「膀胱炎は治しやすいから」と軽視せず、きちんと完治させるとともに、膀胱炎にかかりにくい生活習慣を身につけることが大切です。

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尿のトラブルは、日常生活の見直しで軽減できます

「トイレの回数が多い」「夜中に何度も起きる」「我慢できなくて尿もれが増えた」という場合、「もう歳だから」とあきらめてしまう人が多いようです。実際には、頻尿や尿失禁、膀胱炎には何らかの原因があり、ライフスタイルを見直すことで改善するケースが少なくありません。

どの尿のトラブルにも有用なのは、体を冷えから守ることです。特にお腹や腰を温めると、膀胱の収縮を防ぐことができ、症状の軽減が期待できます。骨盤底筋群を鍛える骨盤底筋体操は、尿もれだけでなく、頻尿にも効果的です。

水分摂取量のコントロールは、尿の悩みの種類によって異なり、過活動膀胱による頻尿の場合は夜間の水分摂取を控えめに、膀胱炎は積極的な水分摂取を心がけます。

自分の日常生活と排尿パターンをきちんと知るために始めたいのが、「排尿日誌」です。尿の回数や量を記録すれば、尿の悩みの原因が推測できることもあります。「トイレの回数が平均の範囲だった」とわかり、安心感が生まれ、悩みが解決する人もいます。

<排尿日誌の一例>

排尿量・時刻・水分摂取量・気づいたことなどを記していく。病院へ行く必要が生じた際の有用な資料にもなる

排尿量・時刻・水分摂取量・気づいたことなどを記していく。病院へ行く必要が生じた際の有用な資料にもなる

 
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