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冷えを防ぐための基礎知識【血行や自律神経との関係】 new

2019年3月7日

「たかが冷え」と考えがちですが、実は多くの人が悩んでいます

「体が冷える」「自分は冷え症だ」と思っていても、「たかが冷え」「ちょっと寒いだけで病気ではない」と軽視している人がいるかもしれません。しかし、冷えを体の悩みや不快な症状として認識している人も多く、厚生労働省の国民生活基礎調査では、病気やけが等の自覚症状として「手足が冷える」という項目が平成10年(1998年)から加わりました。

「手足が冷える」と自覚している人は加齢とともに増え、年代によっては「胃のもたれ・胸やけ」「眠れない」よりも多く(*1)、「手足が冷える」と自覚している人が増加していることからも(図1・図2)、多くの人が悩んでいることがわかります。

*1 出典:厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成28年)

図1/厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成22年・25年・28年)より作図

 

図2/厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成22年・25年・28年)より作図

 

血めぐりが悪いと冷えを招きます

冷えは血めぐりと深く関わっています。そもそも人間の体が温かいのは、体中に温かい血液が運ばれているから。血行が正常であれば、温かい血液が行き渡っているので、体も温かいのです。

血管の中を通っている血液には、生きていく上で欠かせない栄養や酸素を体の各所に運んだり、発痛物質や疲労物質、老廃物などを回収して流し去ったりする働きがあります。つまり、血管は正常な生命活動のライフラインといえます。

血管の中の血液は、栄養や酸素を供給すると同時に、二酸化炭素や老廃物、発痛物質や疲労物質を流し去ることで、細胞の新陳代謝を助けている


 
血めぐりが悪くなって体が冷えると、ライフラインが異常をきたします。まず、熱を逃がさないようにするために血管が細くなり、顔や腕、足などにある末梢血管は特に細くなります。すると、体のすみずみに運ばれる血液の量が少なくなります。そして、私たちの生命活動や健康維持に必要なさまざまな物質の運搬が滞る上、発痛物質や疲労物質が代謝されずに留まるので、疲れをはじめ、痛みやこりなどを招きやすくなります。

また、冷えた部位に送られた血液が冷やされた状態で心臓に戻されることで、体の中心部まで冷えるため、正常な生命活動を妨げてしまうおそれがあります。このような理由から、血行の悪化が、冷えをはじめとするさまざまな不調の原因になるのです。

ストレスも冷えの原因になったり冷えを悪化させたりします

ストレスと冷えには、関係がないように思えるかもしれません。しかし、ストレスを受け続けたときや気分が沈んだときなどに現れる不調として、冷えがあります。

例えば、「いつも時間に追われている」「仕事中は緊張をゆるめられない」といった状況により、ストレスを受け続けると、交感神経が優位な状態が続きます。交感神経は、主に体が活動しているときに働く自律神経で、手足などの血管を収縮させる働きがあるため、血行が悪くなり、冷えにつながるのです。

また、自律神経は体温を調節するほか、消化器をはじめとする多くの器官をコントロールしています。個人差や気温による相違はありますが、寒暖差が約7℃以上になると、交感神経が優位になり続けることで自律神経のバランスが崩れ、体温をうまく調節できなくなります。また、冷えだけでなく、胃腸の不調、めまいや頭痛などを引き起こすおそれもあります。

不調や不快感そのものがストレスとなり、さらに冷えが加速するという悪循環に陥るおそれもあるので、快調な毎日のためにストレスマネジメントは不可欠です。

▼関連記事:自律神経の基礎知識 【交感神経と副交感神経】

2つの自律神経のうち、活動時には交感神経、休息時には副交感神経が活発になる。協調しながら多くの器官を調節しているが、血管のほとんどは交感神経だけが支配している

筋肉量を増やして、冷えにくい体をつくりましょう

私たち人間の体は、動かずにじっとしていても、呼吸をしたり熱を産生したりといった生命活動を維持するためにエネルギーが消費されており、これを基礎代謝と呼びます。最も多くエネルギーが消費されているのが筋肉で、安静時でも体内の熱の約25%は筋肉でつくられ、運動時にはその割合がさらに大きくなります。

筋肉には、収縮と弛緩を繰り返すことでポンプのような機能もあり、温かい血液を全身に送っています。つまり、冷えにくい体をつくるには、筋肉の量を増やすことが重要です。特に意識して増やしたいのが、体を支える大きな筋肉である腹筋や背筋(はいきん)、太ももの筋肉です。女性は男性よりも筋肉量が少ないので、冷えに悩む人が多い傾向があります。「筋肉を増やす」「筋肉を動かす」ことを普段の生活で心がけることをおすすめします。

日常生活で簡単にできる冷え対策を知りましょう

冷えに直結しやすいのが天気や職場の温度ですが、変えるのは難しいものです。冷えが気になったらいつでも1枚プラスできるように、カーディガンやストールを用意しておきましょう。

服装を変えるのが難しい人は、使い捨てカイロを活用しませんか。体の表面に近いところに太い血管が通っており、皮下脂肪があまり厚くない腰や背中に使うと、全身が温まりやすくなります。太ももやお腹にもおすすめです。

食生活も大切です。寝不足やダイエットなどで食事を抜くと、熱の産生量が減るだけでなく、脳や心臓の正常な働きの維持を優先するために、手足の体温が低下するからです。日中の元気な活動を支えるためにも、特に朝食は抜かずにしっかりととりましょう。

朝はエネルギー源となる炭水化物と体温を上げてくれるたんぱく質を積極的に食べるとよい。また、冷たいものはできるだけ避けて温かいものを食べる習慣を

男性が冷え症にならないというわけではありません

前項で説明したように、男性よりも筋肉量が少ない女性のほうが、冷えに悩む人が多い傾向があります。男性は季節ごとにファッションを変える女性に比べて服装が変わりづらいので、冷えに気づきにくく、「男だから冷えには関係ない」と思い込んでいる場合もあります。

だからといって、男性が冷えに悩まないというわけではなく、最近は冷えを自覚している男性が増えているようです。特に同じ姿勢でデスクワークを続けている、運動が不足しているという男性に多いほか、お腹の調子が悪くなって気づく人もいます。

特に病気ではないけど何となく疲労感や不調を抱えている、下痢になりやすいという人は、冷えを防いでみると、不調がやわらぐかもしれません。

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