お風呂に入ると花粉症がラクになる?息切れは歳のせい?【健康豆知識】

本間生夫 先生(東京有明医療大学学長)

2019年11月27日

「花粉症はこうすればよくなる」「腹式呼吸のほうが健康にいいはず」など、鼻や喉、呼吸に関する間違った思い込みや情報を信じている人や、素朴な疑問を持っている人が少なくありません。この記事では、呼吸器を構成する鼻や喉、呼吸に関する興味深い情報をお届けします。

「お風呂に入るとツライ花粉症がやわらぐ気がする」

入浴すると、髪や体に付着した花粉を洗い流せます。さらに、体が温まれば鼻粘膜の血めぐりがよくなり、線毛(繊毛)が活発化します。浴室のたっぷりの蒸気も線毛の働きを向上させます。すると、線毛による異物除去効果が高まるので、花粉症の症状がラクになる場合もあるというわけです。蒸しタオルで鼻を温めるのもおすすめします。

「鼻毛と線毛は違うの?」

鼻の中には2種類の毛が生えています。私たちが「鼻の毛」として思い浮かべるのは、鼻の穴の付近に生えている鼻毛。大きなゴミやホコリが体内に入らないよう、シャットアウトしています。

鼻毛にシャットアウトされず、鼻の奥にまで入ってきた小さなゴミやチリ、ウイルスや花粉には、鼻粘膜に生えている細くて短い線毛という毛が立ち向かいます。線毛は常に一定の方向に動いており、異物をベルトコンベアのように押し出します。

このように2種類の鼻の毛は、重要な防御機能を担っています。鼻毛の切りすぎや抜きすぎは、防御機能の低下につながるので、おすすめできません。

「いろんな種類の呼吸があるって本当?」

本当です。無意識に行われる代謝性呼吸、意志でコントロールできる随意呼吸、心の変化に伴って変わる情動呼吸の3種類があります。どの呼吸も安定していることが重要で、ヨガやマインドフルネスなどで「深くゆったりとしたいい呼吸ができているか」を意識するのもよいでしょう。お風呂で深呼吸したり、心地よい香りをかいだりすると、呼吸を整えるのに役立ちます。

好きな香りの入浴剤を使うとバスタイムがさらにリラックス

「健康のためには、腹式呼吸?」

胸式呼吸よりも腹式呼吸のほうが健康によいと思われがちですが、性質も使う筋肉が全く異なります。体を起こしているときは胸の呼吸筋を主に使う胸式呼吸、寝ているときは横隔膜を主に使う腹式呼吸というように、体位によって異なり、どちらの呼吸も重要なのです。

健やかな呼吸機能を保つには、呼吸筋が規則正しく動くことが重要です。背筋を丸めてずっとデスクワークしている人などは、呼吸筋が動きづらくなっているので、姿勢を正すことも大切です。

「すぐに息切れするようになったのは、歳のせい?」

呼吸は、肋間筋や横隔膜などで構成される呼吸筋の収縮によって行われています。「少し早足で歩いたり階段を上ったりするだけで息切れするようになった」と感じる人は、加齢により呼吸筋が衰え、呼吸機能が低下しているおそれがあります。なお、肺の中に残っている空気の量(残気量)は加齢とともに増えるため、どうしても浅い呼吸になります。意識していなくても、深くゆっくりとした呼吸になるのが理想的です。

一般に、1分間の呼吸回数は約15回とされてきましたが、実は12~18回程度と個人差が大きいことや、年齢や性別にかかわらず、不安特性が高い人ほど呼吸の回数が多いことがわかってきました。また、脈拍や血圧は呼吸で変動するので、呼吸を整えることは大切です。

加齢で衰えた呼吸筋や、不安特性が高い人の呼吸回数をコントロールするのには呼吸筋ストレッチが有用です。残気量を減らし、息苦しさをやわらげ、不安もやわらげるといった特長があります。朝起きたときでも、仕事の合間でも、寝る前でもいつでも取り入れられます。

<背中を丸めながら伸ばすストレッチ>

(1)胸を張り、手を胸の上部に重ねて置き、息を鼻から吸って口から吐く
(2)鼻から息を吸いながら、手を組み、腕を前に少しずつ伸ばし、背中を丸めていく。このとき、重心をかかとに置き、膝は軽く曲げる
(3)おへそをのぞき込むようにしながら息を吸い切るまで背中を丸める。お尻を突き出さないように注意
(4)口から息を吐きながらゆっくりと(1)の姿勢に戻す


<胸壁を伸ばすストレッチ>

(1)手を腰の後ろで軽く組み、息を鼻から吸って口から吐く
(2)鼻から息を吸いながら、肩を内側にゆっくりと閉じる
(3)口から息を吐きながら、両手を後方に伸ばし、胸を開く。息を吐ききったら(1)の姿勢に戻す

Page Top