前かがみのライン作業で、腰も肩も痛くてガチガチ【原因と対策】

福田千晶 先生 (医学博士・健康科学アドバイザー)

2018年12月12日

動作や姿勢を見直すと同時に、職場環境にも気を配ってみましょう

工場でのライン作業は、比較的細かいものを扱うケースが多く、動き回る時間も少ないため、「体に負担がかかる」というイメージは少ないかもしれません。しかし、中腰や前かがみなどの不自然な姿勢が続いたり、体をひねったりすることが多いと、背骨(脊柱)を支える背筋(はいきん)などに負担がかかり、腰痛の原因になります。

腰痛には職場の温度や湿度もかかわっています。例えば、寒い職場で過ごすと、血管が収縮して筋肉がこわばってしまいます。湿度が高いと、汗の発散が妨げられ、身体的疲労だけでなく心理的なストレスも大きくなります。

また、暗い職場をはじめ、狭い空間や作業効率が悪い空間では、姿勢が悪くなり、転倒やつまずきなどのリスクが増えるなど、職場環境が腰痛の発生や悪化を招いている場合もあります。仕事中の動作や姿勢を見直すと同時に、職場環境にも注意を払い、冷えを防ぐ工夫や整理整頓などを心がけるのもおすすめです。

*参考:厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年)

コツ1.「正しい姿勢」で肩こりや腰痛を予防

肩こりは頭が前に出る前かがみの姿勢を続けた場合などに発生しやすく、腰痛は背筋(はいきん)や腰に負担をかけたり体をひねったりする機会が多い人に起こりがちです。工場でのライン作業の多くも、このような動作に該当します。しかし、仕事中の動作や姿勢を変えるのは難しいという場合がほとんどです。休憩時間には、軽いストレッチなどで体を動かして、こわばった筋肉をほぐす習慣を身につけましょう。

「正しい姿勢」を知るのも、肩こりや腰痛を防ぐ基本です。まずは壁に背中をつけて正しい姿勢で立つ練習がおすすめ。横から見たときの背骨(脊椎)から腰にかけての曲線を意識しながら、あごを引き、背すじを伸ばし、頭が前に出過ぎないようにします。この感覚を普段の生活で忘れないようにしましょう。

<立つときの基本の姿勢>

壁に背中をつけて正しい姿勢で立ったとき、横から見た背骨(脊椎)は、首の部分で前方に凸、肩甲骨のあたりで後方に凸のカーブを描き、腰の後ろと壁の間に手が入る程度の隙間ができている

コツ2.一つひとつの動作をゆっくり丁寧に

ライン作業で特に気をつけたいのが、体をひねる、ねじるという動作です。上半身だけの向きを変えてしまいがちですが、できるだけ体全体の向きを変えます。いきなりの動作も避け、ゆっくりと向きを変えたり振り向いたりしてください。

荷物を持ち上げるときは、中腰のままではなく、一旦しゃがんだ後に荷物を持ち、腕だけではなく全身を使って持ち上げます。体の向きを変えるときは、荷物を持って立ち上がってから向きを変えましょう。

コツ3.冷えを防いで肩こりや腰痛を改善

体が冷えると肩こりや腰痛こりにつながるのは、血めぐりが悪くなり、疲労物質や発痛物質が流されずに留まるためです。「冷えていない」と思う人も、体が冷えていないかどうかをチェックしてみませんか。肩、腰、膝などに、衣服の上からでもよいので手を当ててみましょう。手の温かさを気持ちよいと感じたら、冷えている可能性があります。

「ユニホームを着用するからアウターや羽織りものでの防寒が難しい」という人は、保温効果の高い下着をプラス。厚手のタイツやストッキングで足元の冷えも防ぎましょう。貼る使い捨てカイロで肩や腰を温めるのもおすすめです。

コツ4.これならすぐできる!「ストレートネック」対策

首を曲げた前のめりの姿勢で作業を続けると、本来はゆるやかなカーブを描くはずの首の骨(頸椎)が前方へ伸びてしまう場合があり、これを「ストレートネック」と呼びます。ストレートネックになると、首や肩の筋肉にますます普段がかかり、こりや疲れの悪化を招くので、前かがみで作業している人は対策を取り入れてみましょう。

簡単にできるのが、バスタオルを丸めた首枕を寝るときに首の下に置くことです。もともとの首の骨のカーブをキープしやすくなります。休憩時間は、できるだけ体を動かすことが大切。椅子に座ったままできるストレッチを知っておくと、仕事の合間や食事の前後などにこまめに実行できます。

(1)片方の腕でもう一方の肘を抱えるようにして斜め後ろに持ち上げる。肩や肩甲骨の周りの筋肉が伸びているのを意識しながら、20秒ほど静止
(2)片方の腕を頭の後ろで曲げ、肘をもう一方の手で引き、脇の下や背中の筋肉を伸ばし、20秒ほど静止。(1)と(2)を3セット以上繰り返す
※運動やストレッチの効果には個人差があります。無理をせず、伸ばしている部分が「気持ちいい」と感じる程度を目安に行ってください。

コツ5.疲れた目をいたわると首や肩がラクになる可能性も!

対象物をじっと見つめることが多いライン作業は、気づかないうちに目が疲れているケースも。また、視線も意識も限られた範囲に集中しがちなので、休憩時間は屋外に出て、目の筋肉も気持ちもリフレッシュしましょう。メガネやコンタクトレンズをはずし、屋外で太陽光を適度に浴びると、近視の進行を抑えられることもわかっています(*1)

目の疲れと肩こりは同時に起こる場合が多く、どちらも筋肉の緊張が原因という点で共通しています。「肩こりだけでなく疲れ目も気になる」という人は、蒸しタオルなどで目を温めると、目の疲れだけでなく、肩こりもやわらぐ可能性があります。

  • * 1 屋外なら日陰でも効果がある

蒸気による温熱は短時間で広く深く伝わり、血液中に滞っていた発痛物質や疲労物質を効率よく代謝させる。蒸しタオルでやけどしないように注意

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