長時間の運転や荷物の積み下ろしで、腰が痛い【原因と対策】

福田千晶 先生 (医学博士・健康科学アドバイザー)

2018年12月12日

「重い荷物を持つ」「長時間運転する」などの動作が腰に負担をかけています

「重い荷物を頻繁に持ち上げる」「重い荷物を押したり引いたりする」「腰を深く曲げたりひねったりする」「急に姿勢を変える」「運転などで長時間同じ姿勢をとる」という動作が続く運送業(*1)。かかる病気の8割近くが腰痛であることがわかっています(*2)

腰痛の原因の多くは、背骨(脊柱)を構成する腰椎や椎間板、背筋(はいきん)、靭帯のダメージです。上に挙げたような運送業で頻繁に発生する動作は、背筋や椎間板などに負担がかかるため、腰痛を招きやすいと考えられます。

「腰痛になりやすい」「慢性的な腰痛に悩んでいる」という人は、無意識に行っている動作を見直し、運転中の姿勢を意識しましょう。

  • * 1 * 2 における運輸交通業と貨物取扱業を指す
  • * 2 出典:厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」(平成28年)

コツ1.「体を急に動かさない!」が腰痛予防の基本

突然の動作や力を入れる作業は、椎間板や靭帯を傷める原因です。始業前は、全身の筋肉や関節を上手に使えるように、ウオーミングアップする習慣を。ラジオ体操はもちろん、学生時代の部活で行っていた準備運動、スクワットなども効果的です。また、重い荷物を持ち上げるときの動作を、荷物のない状態でシミュレーションしてみるのもよいでしょう。

仕事中は、急に力が必要な作業をしたり、いきなり体をひねったりするのはできるだけ避けてください。荷物は中腰のまま持ち上げるのではなく、きちんとしゃがんでから荷物に手をかけ、全身を使って持ち上げます。「ながら動作」をせず、体の向きを変えるときは、荷物を持って立ち上がってから向きを変えるのもポイントです。

コツ2.ドライビングポジションを改めてチェック!

腰痛を防ぐには、長い時間を過ごす車の中での姿勢も重要です。「ドライビングポジションはすでに知っている」と思うかもしれませんが、改めて確認しませんか。正しい姿勢に留意すれば、腰痛だけでなく、肩や首のこり、目の疲れなどの軽減も期待できます。振動が大きな車両を運転するときは、クッションを敷いて振動をやわらげましょう。

◎背中/背もたれと背中の間に隙間をあけないようシートに深く腰かけ、猫背や前のめりにならないように注意
◎膝/ブレーキペダルを踏み込んだときに、膝が伸びきらない程度がベスト
◎シートベルト/腰ベルトは腰骨の低い位置に、肩ベルトは首や腕にかからないよう肩の中央にかける

コツ3.腰痛を悪化させる「冷え」にも注意

体が冷えると、血めぐりが悪くなり、老廃物などが代謝されず、疲れやこりを招きやすくなります。夏は車内のエアコンをずっと「強」にしている、冬は冷たい風に当たりながら荷物の積み下ろしをするという人は、冷えを防ぐことで、腰痛がやわらぐ可能性があります。

「作業で汗をかくほど暑いから冷えなんて関係ない」と思う人は、汗を放置すると冷えの原因になるので、できるだけすぐに拭き取りましょう。仕事中の冷えに思い当たる人は、車内でエアコンの風が直撃しないようにする、保温効果の高い下着を着る、厚手の靴下をはくなど、冷えから守る習慣を。使い捨てカイロを背中や腰のあたりに使うと、全身が温まります。

コツ4.夜はお風呂で疲れた筋肉をときほぐす!

腰痛や腕の疲れをやわらげる手軽な方法として、毎日の入浴があります。全身の血行を促して発痛物質や疲労物質を流し去れば、痛みやこりの改善につながります。また、湯船の中に働く浮力により、全身を支えている筋肉や関節を休ませ、体全体の緊張をときほぐすことができます。

入浴時のポイントは、足をできるだけ伸ばして首までお湯につかること。肩がお湯から出てしまうときは、お湯で濡らしたタオルをかけるとよいでしょう。熱すぎない38~40℃のお湯にゆっくりとつかると、血流改善やリラックス効果が高まります。

コツ5.「太ってきたかも」という人は仕事後に運動を

人手不足や長時間労働問題が指摘される運送業界では、十分な食事の時間がとりづらく、早食いや大食いになる傾向があるようです。このような食べ方は体重増加につながりやすく、肥満は関節や背骨への負荷が増えるので、肩こりや腰痛の原因になります。油っこい料理や塩分の多い料理を控え、ビールや糖分の多いジュースの飲みすぎに気をつけるなど、食生活にも気を配り、定期的に体重を測定してください。

仕事が終わった後に、軽いジョギング、縄跳び、バッティングの素振りなど、仕事中とは違う動作をすると、肩や腰の筋肉をほぐすだけでなく、体重のコントロールにも役立ちます。「仕事で疲れているのに運動なんて・・・」と思う人は、短時間だけでもよいので、運動する習慣を少しずつつくっていきましょう。

Page Top