家族も知っておきたい!受験前の体調管理のコツ

2019年12月2日

受験を控え、夜遅くまで勉強するお子さんの健康が気になるご家族が多いようです。調査によると、受験生に大切だと思う健康管理上の留意点の1位は「睡眠時間」、続いて「風邪・インフルエンザ予防」「栄養バランス」「お腹の調子」が挙げられました(図1)。そこでこの記事では、受験生の不調対策や健康づくりに役立つ情報をお届けします。

<受験生にとって大切だと思う健康管理上の留意点>

図1/花王インターネット調査(N=101)「受験生にとって大切だと思う健康管理上の留意点」(2019年)より作図

睡眠リズムが乱れがちな受験生の体調を整えるコツ

試験前に徹夜すると、記憶したことを思い出しにくかったり、計算の正確さが落ちたりすることがわかっています。睡眠には、その日の出来事や学習したことを脳に刻み込む働きがあるからです。学習効果をしっかり得るためには、睡眠時間をきちんと確保する生活習慣も大切というわけです。

普段の寝不足を補おうとして、土曜日や日曜日に寝だめする人もいます。しかし、平日と同じ時刻に起きるほうが、生活リズムが崩れにくいのをご存じですか?眠気を促すメラトニンというホルモンは、朝に光を目にしてから約14時間後に分泌が始まります。「早寝早起き」よりも、「早起き早寝」という睡眠の仕組みに基づいて生活リズムを整えるとよいでしょう。

起床したら外の光をしっかり目に入れるのが大切。朝の通学電車の窓から外を見ると、浴びた光の量が蓄積されるのでおすすめ

勉強の合間に仮眠したくなったら、長時間眠りすぎないように注意。1時間の昼寝はその3倍の夜の睡眠に相当するともいわれており、夜の健やかな睡眠を削ります。「昼寝は30分以内」「仮眠は夕方以前の早めの時間に」と決めて短い睡眠をとると、睡眠リズムを大きく崩すのを防げます。

今年の冬だけはひきたくない!風邪を防ぐコツ

調査によると、受験シーズンの健康管理で取り入れている対策の上位は、「手洗いやうがい」「マスク」「人ごみを避ける」「温かいものを食べたり飲んだりする」が占めており(図2)、風邪やインフルエンザの予防を意識していることがうかがえます。「受験前の大切な時期に急にダウンしてしまった」を避けるために、鼻や喉の機能を高めてバリア力を高める大切さを知っておきましょう。

<受験シーズンの健康管理で実行・推奨しているケア>

図2/花王インターネット調査(N=101)「受験シーズンの健康管理で実行・推奨しているケア」(2019年)より作図

風邪の原因となるウイルスなどを除去するのは、鼻と喉の粘膜にびっしりと生えた短い線毛(繊毛)です。線毛は、加温加湿すると活発に働く性質を持っているので、喉や鼻の乾燥を防いで湿り気を与えるという意味で、マスクは有用です。室内の空気が乾燥しないよう、加湿器の活用もおすすめします。

侵入したウイルスが鼻や喉の粘膜に付着して20分経つと、細胞の中に入ってしまうといわれているので、特に外出先では口の中をこまめに保湿するのが効果的。温かい飲み物や喉飴を取り入れてみませんか。緑茶や紅茶に含まれるカテキンには抗ウイルス効果があるので、帰宅したら緑茶でうがいしたり、緑茶を飲んだりするのもおすすめです。口の中の乾燥を防ぎ殺菌効果を高めるという意味では、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージも取り入れるとよいでしょう。

何かを飲んでひと息つくなら温かいものを

いろいろな不調の原因になる冷えを防ぐコツ

血めぐりが悪くなって体が冷えると、疲れ、痛み、こりといった不調の原因になります。ずっと座りっぱなしで受験勉強をしている人は、冷えを感じやすい手足だけでなく、肩や腰の冷えにも注意してください。同じ姿勢を続けていると、血行が滞り、冷えを招くからです。外出時だけでなく、勉強する室内でも、羽織ものやひざ掛けなどをそばに用意しておきませんか。使い捨てカイロで温めるのも手軽な方法です。どこか1カ所に貼るなら、腰に貼るとよいでしょう。

全身を効率的に温めて血行を促進するなら、お風呂がおすすめです。寝る1~2時間前に、夏は38℃、冬は40℃前後の熱すぎない程度のお湯に10分以上を目安にゆっくりとつかってください。寝つきがよくなり深い睡眠を得られる効果もあります。

ぬるめのお湯にゆったりつかって副交感神経が優位になるとストレスや緊張をやわらげる効果も

疲れ目や肩こりをやわらげるコツ

毎日机に向かう受験生が感じやすい不調として、疲れ目や肩こりも挙げられます。目や肩に負担のかからない姿勢で勉強できるよう、机と椅子の高さが体に合っているかをチェックしましょう。また、電気スタンドで教科書やノートの一部分だけを明るく照らすよりも、机の上全体を均一な明るさにするとともに、部屋全体の明るさにも気を配ってください。

<勉強するときの基本の姿勢>

(1)自然に曲げた肘と机の天板の高さが同じ(2)椅子の背もたれが背中にしっかりと当たっている(3)足の裏が足置きか床にしっかりついている(4)座ったときに膝の裏と椅子の座面のふちに隙間があるの4つのポイントをチェック

参考書やノートを見つめ続けて目が疲れたら、目の周囲の特定の筋肉だけを使い続けたことによる「目の筋肉痛」が原因と考えられます。そんなときは、目を蒸しタオルで温めて血行を促せば、緊張した筋肉をほぐせる上、勉強疲れをリフレッシュする効果も。疲れ目と肩こりは同時に起きる場合も多いので、肩こりがやわらぐこともあります。

約40℃の蒸しタオルで10分間のリフレッシュタイムを。蒸しタオルを使うときはやけどに注意

近い距離を見つめて緊張した筋肉は、ピントをチェンジすることでもほぐすことができます。窓の外などの遠くを見つめてから30センチ程度離れた場所を見つめるというふうにピントを変えて、目の周囲の筋肉をストレッチしましょう。

<ピント合わせストレッチ>

(1)窓の外の遠くにある対象にピントを合わせる。室内の場合は数メートル先にある絵やカレンダーを見つめてもよい

(2)手のひらなど、目から30センチ程度の場所にあるものにピントをゆっくり合わせる。(1)と(2)を5~10回繰り返す

同じ姿勢を続けたり、冷える環境で勉強したりすると、筋肉が緊張して血めぐりが滞り、肩のこりや痛みを招く場合もあります。使い捨てカイロや蒸しタオルなどで肩を温めると、血液中に滞留していた発痛物質や疲労物質が流れ去り、肩こりの改善が期待できます。

勉強の合間に肩や首を温めると、肩こりの改善につながる上、疲れ目がやわらぐこともある。蒸しタオルを使うときはやけどに注意

前のめりの姿勢を続けたことで、本来はゆるやかにカーブしているはずの首の骨(頸椎)が前方へまっすぐ伸びた「ストレートネック」になり、首や肩の筋肉に大きな負担がかかっている人もいます。頭が首よりも前に出ていると感じたら、休憩時間には机から離れて意識して体を動かしてください。椅子に座ったままできる簡単なストレッチもあります。

(1)片方の腕でもう一方の肘を抱えるようにして斜め後ろに持ち上げる。肩や肩甲骨の周りの筋肉が伸びているのを意識しながら、20秒ほど静止
(2)片方の腕を頭の後ろで曲げ、肘をもう一方の手で引き、脇の下や背中の筋肉を伸ばし、20秒ほど静止。(1)と(2)を3セット以上繰り返す。どちらの動作も息をゆっくり吐きながら行うのがポイント
 
※運動やストレッチの効果には個人差があります。無理をせず、伸ばしている部分が「気持ちいい」と感じる程度を目安に行ってください

緊張も影響する!?下痢や便秘を防ぐコツ

大腸や小腸の働きは自律神経によってコントロールされているので、心の状態が排便に影響を及ぼすこともあります。

例えば、受験勉強のストレス、試験の前の強い緊張や不安により、急に下痢になる人もいます。ストレスでお腹をこわしやすい人は、大事な試験がある日などは、少しだけ早めに起きて朝をゆっくりと過ごし、焦らずに排便する時間をつくりましょう。「きちんと出したから大丈夫」という安心感が、ストレスによる腹痛や下痢を防ぐことにつながります。

ストレスで強い緊張や不安を感じると下痢になる人もいる

受験勉強の追い込みの時期は、寒さや冷えがストレスとなって、交感神経が優位になり、腸の蠕動(ぜんどう)運動や消化・吸収の働きが停滞して便秘になる人もいます。思い当たる人は、重ね着を心がけたり、使い捨てカイロを活用したりして、冷えない習慣を。蒸しタオルでお腹を温めると、腸の働きを整えることにつながり、受験勉強の合間のリラックスにも効果的です。

お腹を温めると副交感神経が優位になり腸の働きを整えることにつながる。蒸しタオルを使うときはやけどに注意

<監修者一覧>

睡眠リズムが乱れがちな受験生の体調を整えるコツ
三島和夫 先生 (医学博士・秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授)

今年の冬だけはひきたくない!風邪を防ぐコツ
本間生夫 先生 (東京有明医療大学学長)

いろいろな不調の原因になる冷えを防ぐコツ
福田千晶 先生 (医学博士・健康科学アドバイザー)

疲れ目や肩こりをやわらげるコツ
後藤英樹 先生 (後藤眼科医院院長)
福田千晶 先生 (医学博士・健康科学アドバイザー)

緊張も影響する!?下痢や便秘を防ぐコツ
加藤木真史 先生 (聖路加国際大学大学院看護学研究科助教)

Page Top