最近、歯にものがはさまる。歯が長くなった気がする【原因と対策】

高柳篤史 先生 (高柳歯科医院副院長)

2019年4月22日

「歯肉(歯ぐき)から出血する」という症状で知られる歯周病。進行すると、歯を失う場合もあるので、早いうちから歯周病の対策を始めることが大切です。この記事では、歯周病を防ぐ歯みがきのコツや外出先でのケア、糖尿病とのかかわりなどをご紹介しています。

「歯に食べ物がはさまる」「歯が長くなった」は歯周病のサインです

歯周病(歯肉炎・歯周炎)の症状としてよく知られているのは、ブラッシング時に出血する、歯肉(歯ぐき)が赤く腫れるといった変化です。しかし、歯にものがはさまるようになった、歯肉が下がった気がする、歯が長くなった、歯の根元がしみるといった症状も、歯周病のサインです。症状が進むと、顎の骨が溶けて歯が抜けることもあります。

「歯周病はもっと歳をとってからなるもの」と思う人が多いかもしれませんが、実は成人の8割は歯周病(*1 )。WHO(世界保健機関)における歯周病のターゲットエイジである35~45歳から歯周病による顎の骨の吸収が認められる人が多くなるので、特に30代後半からは歯周病を意識的に予防する習慣が大切です。

歯周病の原因は、歯と歯肉(歯ぐき)の間の歯垢です。そのため、歯と歯肉の間の汚れをしっかり取り除くのが重要。口の中には約700種類もの細菌がいます。細菌のかたまりである歯垢の中には、歯周病を引き起こす菌が存在しています。歯垢を完全に自分で取り除くのは難しい上、歯垢が石灰化した歯石は除去できないので、歯科医院で定期的に除去するのも効果的です。

  • * 1 出典:厚生労働省「歯科疾患実態調査」(平成23年)

歳を重ねても健康に過ごすために、しっかり予防したい生活習慣病。その一つである糖尿病と歯周病とのかかわりをご存じですか?実は、糖尿病の人は歯周病になりやすく、さらに、重度の歯周病は血糖コントロールに影響します。糖尿病の人にとって、歯垢をきちんと取り除く日頃の習慣が、歯を失うのを防ぐだけでなく、血糖コントロールの改善にもつながることが研究で明らかにされています。

知っておきたい!歯周病を防ぐ5つのセルフケアのコツ

「最近、歯にものがはさまる。歯が長くなった気がする」。そんな悩みの対策や予防法をご紹介します。自分に合った簡単なセルフケアを取り入れて、歯周病を防ぎ、自分の歯を1本でも多く残しましょう。

コツ1.予防の基本は歯と歯肉の間に歯垢をためないこと

歯と歯肉の間に歯垢をためないのが、歯周病予防の基本。歯と歯肉の間を小刻みにていねいにみがくと同時に、歯肉に適度な刺激を与えて血行を促します。ただし、力を入れすぎて歯肉を傷つけないように気をつけましょう。

歯の根元が見えるようになると、大人でもむし歯になりやすい状態です。う蝕に有効なフッ素入りのハミガキを使うとよいでしょう。

コツ2.「外側だけ」「片側だけ」に注意!まんべんなくみがくのがカギ

前歯などの人目に触れやすい外側の歯だけをていねいに磨いていませんか。また、利き手の反対側の歯だけを重点的にみがく人もいます。全部の歯をまんべんなくみがくには、例えば上下の歯をそれぞれ左右に分けて4つのゾーンをつくり、「むし歯になりやすい奥歯からみがく」「みがき残しをしやすい利き手の側の歯からみがく」のようにリスクの高い場所からみがく順番を決めておくのも一つのコツです。

平日は忙しくてていねいにみがけないという人は、休日の時間があるときだけでも、きちんとまんべんなくみがく歯みがきタイムをつくってください。

コツ3.タバコ・ストレス・疲労も歯周病の原因に

口の中の状態の悪化や不十分な歯みがきに加え、喫煙も歯周病のリスクを高める要因です。タバコの煙に含まれるニコチンなどが、歯周病を進行しやすくする上、治癒も遅らせるからです。

また、過度のストレスや疲労などで自律神経のバランスが崩れたり抵抗力が落ちたりすると、歯周病が進行しやすくなります。ていねいな歯みがきとともに、食生活に配慮する、睡眠時間を確保する、体を動かすなど、生活習慣を見直すとよいでしょう。「食べたらみがく」「寝る前にみがく」という習慣は、生活リズムを整えるのにも役立ちます。

コツ4.唾液の分泌を促して口の中を清浄に!

唾液には、口の中を浄化したり殺菌したりする働きがあります。したがって、唾液の分泌量が減ると、歯垢ができやすくなり、むし歯や歯周病につながることを知っておきましょう。

唾液の分泌を増やすには、よくかんで食べることが大切。笑う、話すなどの豊かな表情で筋肉を動かすと、唾液を口の中に行き渡らせることができます。

大きな唾液腺のある場所をマッサージすると、唾液の分泌が促されるので、痛くない程度の力で押す習慣を

服用している薬が原因で唾液の分泌量が減る場合もあります。特に、歳を重ねると服用する薬が増えるので、唾液の量が減少しがち。若い人でも、花粉症の薬や鎮痛薬などの副作用で唾液の分泌量が減少することがあります。

コツ5.外出先では洗口液を活用

歯周病を防ぐには、ハブラシを使ったていねいな歯みがきが基本。外出先や仕事中に歯をじっくりみがく時間がない人は、デンタルリンス(洗口液)を活用し、口の中をきれいにするのもおすすめです。

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