注目のキーワード

壮年期の歯のケアとQ&A よく見られている記事

2016年3月30日

壮年期ではとくに、歯周病の予防を考えたケアが重要です。歯を1本でも失わないように毎食後のケアと定期的な歯科健診を心がけましょう。

壮年期の歯と歯肉

加齢で歯や歯肉は弱くなるの?

歯そのものが、加齢によって大きく変化することはありません。ただ、毎日のお手入れが不十分だと、次第に歯肉が弱り、歯周病が起きやすくなります。歯科疾患実態調査によると、35~44歳では約80%近くの人に、歯石の沈着や歯周病の所見が見られ、年齢とともに、より重度の人の割合が増加しています。

しかし、歯周病は単なる老化現象ではなく、「歯肉の病気」です。毎日の適切なケアで防ぐことができるものです。壮年期以降は、若いとき以上にていねいに歯と歯肉のお手入れをすることが必要です。

年齢階級別歯肉の所見の有無

平成23年度「歯科疾患実態調査」(厚生労働省)より作図


 

歯にも寿命はある?

歯は本来、からだの中でも丈夫な器官。毎日のお手入れ次第で、一生使えるものです。しかし実際には、むし歯や歯周病などによって次第に失われ、80歳以上では、残念ながら自分の歯は平均8本程度しか残っていないという状況です。

もっとも寿命が短い歯は、下顎の第1大臼歯(六歳臼歯)です。もっとも寿命が長いのは、下顎の犬歯です。ちなみに、左右の歯の間では、歯の寿命の違いはほとんどありません。男女では、女性の歯の寿命は、男性よりも短いようです。

一生自分の歯で食べるにはどうすれば?

何よりも、1本でもなくさないようにすることが大切です。歯が1本なくなっても、さほど不便は感じないかもしれませんが、かむ力は大幅に弱まります。また、抜けたままにしておくと、歯が動いて、かみ合わせが乱れ始めます。歯と歯の間にすき間ができるため、食べたものがはさまりやすくなり、そこからむし歯や歯周病が進行して、歯の喪失が加速度的に進んでしまいます。

最近のデータでは、40~44歳の歯の平均喪失数は0.9本。それが55~59歳ではぐっと跳ね上がり、平均4.1本にものぼります。たかが1本と思わずに、まずは最初の1本を失わないよう、毎食後のケアと定期的な歯科健診を心がけてください。また、歯を失うことがあったら歯科医院で適切な治療を受け、それ以上失わないようにしましょう。
 

年齢別喪失歯数

平成23年度「歯科疾患実態調査」(厚生労働省)より作図

 

care5_4歯が1本なくなっただけでも、かみ合う歯がのびたり、両隣の歯が傾くなど、かみ合わせ全体に影響が出始めます。

歯周病のセルフチェックとケア

歯周病が気になる。セルフチェック方法は

歯周病とは、歯肉や歯根膜、歯槽骨といった、歯を支えている土台(歯周組織)が破壊される病気の総称です。歯肉だけが炎症を起こしている状態が「歯肉炎」、さらに悪化し、歯槽骨まで破壊されたのが「歯周炎」です。歯肉炎の段階では、「歯肉がはれる」「歯肉から血が出る」などの症状があります。

さらに進んで歯周炎になると、「歯肉がやせる」「口臭が気になる」「朝、起きたとき、口の中がネバネバする」といった症状があります。ただし、初期の歯周病は強い痛みがないため、気づいたときにはかなり進行していることも少なくありません。下記の症状に思い当たる方は歯医者さんで診てもらいましょう。

あなたの歯と歯肉は大丈夫ですか?
1つでも当てはまる項目がある方は、歯周病の可能性があります。

□ 歯肉の山がはれている。
□ 歯肉が赤くなっている。
□ 歯をみがくと、歯肉から血が出る。
□ 朝起きたとき、口の中がネバつく。
□ 歯が浮くような感じがする。
□ 口臭を感じることがある。
□ 歯肉に痛みやかゆみがある。
□ 歯肉がやせて、歯が前より長くなった。
□ かたいものがかみにくい。
□ 歯肉から膿が出ることがある。
□ 歯肉がときどきはれる。
□ 歯並びが悪くなった。

ものが歯の間に挟まるが、歯肉やせ?

確かに、歯周病が進行して、歯肉が下がってくると、歯と歯の間にすき間ができるため、食べ物がはさまりやすくなります。

歯間ブラシなどの歯間清掃用具の誤った使い方で、歯肉が下がってしまうこともあります。

また、歯周病ではなくても、ハブラシ圧が強すぎて、歯肉がやせることがあります。ハブラシが2週間程度で広がる場合は、力を入れすぎている可能性があります。食べ物がはさまりやすい場合には、歯医者さんに相談してみてください。

タバコは歯周病の原因ってホント?

タバコを吸うと、ニコチンの働きで、歯肉の血行が悪くなります。歯肉の維持に必要な線維芽細胞の働きも抑制されてしまいます。こうしたことから、タバコは歯周病によくないといわれるわけですが、実際、タバコを吸う人が歯周病になると、治りにくく悪化しやすい傾向があります。

タバコを吸う人は、からだの健康のためにも禁煙を心がけ、ていねいな歯みがきを心がけてください。

歯周病になると健康な状態に戻らない?

重度の歯周病で、歯を支える歯槽骨がほとんどない場合は、歯を抜かずに治療することは困難です。しかし、歯肉炎や初~中期歯周炎(歯槽膿漏)の場合は、毎日の歯みがきと歯医者さんの治療で、歯肉の炎症を抑え、ひきしまった歯肉を取り戻し、歯周病の進行を止めることができます。

ただし、いったん下がってしまった歯肉を元に戻すことはむずかしく、歯肉のはれがひくと、下がった歯肉が目立ち、歯と歯の間のすき間が気になるかもしれません。すき間ができた部分は、歯間ブラシなどを使って、再び歯垢がたまらないように、ていねいにブラッシングしましょう。

大人のむし歯(虫歯)と気になる口臭

大人のむし歯(虫歯)は子どもと違う場所になる?

大人の場合、奥歯は治療済みのことが多いのですが、一度治療した歯でも、詰め物のまわりから、むし歯になることがありますので、治療済みでも油断はできません(二次う蝕)。

治療した部分は詰め物と歯の間のわずかな隙間からむし歯菌が侵入し、時間の経過とともにむし歯になりやすくなります。むし歯などで、詰め物と歯の間の隙間が大きくなると、歯みがきの時にハブラシの毛先やデンタルフロスがこの部分にひかかったりすることがあります。このような場合には、早めに歯科医院で相談してみてください。

また、大人の場合は、歯周病などが原因で歯肉がやせて、歯根の部分が出てしまい、そこにむし歯ができることもあります(根面う蝕)。歯根の表面は、歯冠部よりやわらかく、むし歯になりやすいので、とくに注意が必要です。さらに、歯周病が進行すると、歯と歯の間に隙間ができるため、歯と歯の間もむし歯になりやすくなります。

care5_5根面う蝕

歯根の表面が、むし歯になり、黒くなっています。

自分の歯がなくなるのではと心配

若い頃から、むし歯が多く、たくさんの歯を治療しているため将来、自分の歯がなくなるのではないか・・・と、ご心配されている方もいらっしゃいます。

むし歯になっても、放置せずに治療すれば、歳をとっても、自分の歯を残すことは可能です。ただし、一度治療した歯でも、詰め物のまわりからむし歯ができることがあります。

治療した歯は、詰め物のまわりを、ていねいにみがいてください。また、定期的に歯科健診を受け、治療した箇所に不具合がないかチェックしてもらうことも大切です。詰め物がはずれた場合は放置せず、歯医者さんで治療してもらいましょう。

歳と共に口臭がきつくなる気がする

口臭の原因は、多くの場合、口の中にあります。たとえば、歯周病やむし歯が進行していたり、かみ合わせが悪くなって食べ物のカスがはさまりやすくなっていたり。年齢とともに、口臭がきつくなると感じるのは、こうした要因が増えるからであって、歳をとったからといって、必ずしも口臭が強くなるわけではありません。

そのため、口臭の予防には日常のお口のケアが大切です。ていねいな歯みがきに加えて、洗口液の使用も口臭予防に効果的です。

また、口臭が気になったら、歯周病やむし歯などのサインかもしれませんので、歯医者さんで診てもらいましょう。

歯のみがき方と歯肉のケア

若いころとは磨き方を変えた方がいいの?

壮年期ではとくに、歯周病の予防を考えたケアをおすすめします。歯周病の原因は、歯と歯肉の境目にたまった歯垢などの汚れ。 歯をみがくときは、歯と歯肉の境目にななめにハブラシを当て、小刻みに動かし、ていねいに歯垢を落としてください。

歯をみがいた後、仕上げにハブラシで歯肉をマッサージすると、歯肉全体の血流を促すのに効果的です。ハブラシのわきを歯肉に当て、くるっと回転させながらみがき、歯肉に適度な刺激を与えましょう。

歯と歯肉の間をねらっての小刻みな歯みがきが苦手な人には、横巾の広い密毛のハブラシがおすすめです。歯肉にやさしくあたり歯周病ケアにも有効です。

care5_6
ハブラシの毛先を、歯と歯肉の境目に当てて、小刻みに動かしてみがきます。ハブラシの脇腹を歯肉と平行にあて、回転させながらみがきます。

歯の間にものがはさまりやすい人は、どんなケアをしたらいい?

歯肉が下がってくると、歯の根元にすき間ができて、そこに歯垢や食べカスなどの汚れがたまりやすくなります。このすき間の汚れは、普通の歯ブラシでは毛先が届きにくく、きれいに落とすことができません。

こんなときに便利なのが、先細毛や極細毛タイプの歯ブラシです。時間をかけてみがくことで、毛先が歯のすき間に入り込んで、間にはさまった食べカスや汚れも落とすことができます。歯みがき時間が短い方には、歯垢をかきだしやすい球状毛とすき間に届く極細毛を組み合わせた歯ブラシを使うといいでしょう。

球と極細ハブラシ

極細毛と球状毛を組み合わせたハブラシなら、歯と歯の間に毛先が届き、効率的に歯みがきできます。

 

最近、歯肉がやせて下がってきました。長時間ブラッシングしても大丈夫?

時間をかけること自体は問題ありません。みがき残しをしないように、しっかりていねいにみがくことが大切です。この際、注意が必要なのは、ハブラシ圧です。ハブラシ圧が強いと、歯肉を傷つけて、さらに歯肉が下がる原因になります。力を入れすぎないようにしてみがきましょう。1~2週間で毛先が広がってくるとしたら、力が入りすぎですので、ご注意ください。また、歯みがき時間の長い人には、高密で極細毛のハブラシがおすすめです。

歯肉がはれて血が出るのですが、歯みがき(歯磨き)してもかまいませんか?

炎症があるからと、そこを避けてみがいたり、なでる程度ですませたりしていると、歯周病を進める原因になってしまいます。毛先をきちんと当てて、ていねいにみがいてください。軽い炎症なら、きちんとみがくだけで、改善される場合もあります。ていねいにみがいても治まらない場合には、歯周病が進行している可能性もありますので、歯医者さんにご相談ください。

care5_7
炎症を起こした歯肉。歯肉が赤みを帯び、ぷっくりとはれています。ていねいな歯みがきを続けた後の歯肉。赤みがひいて、ひきしまってきました。

朝起きたとき、口の中がネバついて不快

朝、起きたときに、口の中がネバネバするのは、夜眠っている間、唾液の分泌量が少なく、細菌が繁殖しやすくなるからです。気になる方は、就寝前にしっかりと歯みがきをすることが大切です。ネバつきが気になるときには、殺菌剤配合の洗口剤や液体ハミガキを使うのもおすすめです。寝ている間の細菌の繁殖が防げるので、翌朝もお口の中がさわやかです。

日中、口の中にネバついたような不快感を感じることがある

毎日ちゃんと歯みがきやケアをしているのに、口臭、ネバつきなどの不快感が気になる人は少なくありません。

花王の調査によると、30代~50代の女性では不快感が気になる人は約7割にも上り、年齢とともに増える傾向にあります。

原因としては、歯肉が下がって歯と歯のすき間に食べ物がはさまりやすくなったり、みがき残しが多くなったりすることが考えられます。また、ストレスや疲れ、加齢に伴う「唾液分泌量の減少」も、大きな原因のひとつ。本来、唾液には口の中をきれいにする働きがあるのですが、唾液の分泌量が減少すると、その作用が低下し、口の中で細菌が増殖。ネバつきや口臭、ひいてはむし歯や歯周病の原因となってしまうのです。

さし歯やブリッジがある箇所は、どうやってみがく?

「さし歯」は、自分の歯の根に土台を立て、土台に冠をかぶせたもの。お手入れが悪いと、せっかく残った歯の根がむし歯になってしまいます。さし歯と歯肉の境目に、ハブラシの毛先をきちんと当てて、ていねいにブラッシングしましょう。

「ブリッジ」は、橋をかけるように、抜けた歯の両側の歯に冠をかぶせて、抜けた部分に人工歯を補うというもの。正しいケアをしないと、両脇の土台にした歯から歯周病になりやすいので、この両脇をしっかりとケアすることが大切です。ただし、ブリッジの下に普通のハブラシは入りませんから、この場合は歯間ブラシを利用します。歯間ブラシを使うときは、歯肉に沿ってななめ下から入れるのがコツです。

care5_8
歯と歯肉のさかいめに、毛先をきちんと当てて、小刻みに動かしてみがく。ダミー(人工歯)の下の清掃が大切です。歯間ブラシを歯肉に沿って、ななめ下から入れてみがくのがコツ。

 
▼【歯の年代別ケアQ&A】をもっと読む

この記事をシェア

  • facebook
  • twitter
  • google+
  • はてブ