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PMS(月経前症候群)や月経痛を防ぐための基礎知識【女性のからだの仕組み】 new

2016年12月28日

月経(生理)の前には、卵巣から卵胞(卵子)が飛び出る排卵が起こります

月経(生理)の仕組みを知るには、月経の前に体の中で起こる「排卵」について理解する必要があります。女性の骨盤腔(こつばんくう)の真ん中には子宮があり、その左右に2つの卵巣があります。

卵巣の役割は、卵子を含んだ細胞の集合体である卵胞の成育です。生まれたとき、女性の卵巣には100万個ともいわれる原始卵胞が用意されています。やがて生殖機能が整い、脳の視床下部からの指令を受けると、そのうちいくつかの原始卵胞が育ち始めます。同時に、原始卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。

卵胞ホルモンには、子宮内膜を厚くする作用があります。つまり、受精卵の着床に備えてフカフカのベッドをつくるのが役目です。そして、卵胞ホルモンの分泌量がピークになった頃、左右の卵巣で育っている原始卵胞の中で最も成長した卵胞が、卵巣の皮を破って飛び出します。これが排卵です。

受精が成立せず、不要になった子宮内膜がはがれ落ちて起こるのが月経です

排卵の後、卵巣に残された卵胞は、黄体という組織に変わり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を約2週間にわたり分泌します。黄体ホルモンの働きは、妊娠の準備です。受精卵の着床に備えて血流をよくすることで、子宮内膜をみずみずしく整えたり、体温を上げたりします。

一方、排卵により卵巣から飛び出した卵胞は、イソギンチャクのような形の卵管采(らんかんさい)でキャッチされ、卵管の中に送られます。そこで精子と出会って受精すれば、受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠が成立します。ところが、精子と出会わなかった場合、黄体ホルモンの分泌量が急激に減少するとともに、不要になった子宮内膜の一部がはがれ落ち、体外へ排出されます。これが月経(*1)で、25~40日程度の周期で起こります。

*1 月経を生理と呼ぶのは「生理的出血」に由来しており、月経を婉曲に表すために使われていた言葉が一般化した

排卵や月経には、2種類の卵巣ホルモン(女性ホルモン)が関わっています

排卵や月経をコントロールしているのは、卵巣から分泌される2種類の卵巣ホルモン(女性ホルモン)です。そのうち、月経が終了する頃から排卵までの卵胞期に多く分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)には、肌の新陳代謝を促したり、骨を丈夫にしたり、髪を健やかに保ったりする働きがあるほか、思春期には乳房や性器を発育させて丸みを帯びた体型をつくります。月経後の約2週間に心身の調子がよくなる人は、卵胞ホルモンの働きによる可能性が高いといえます。

排卵を機に月経までの黄体期に分泌量が増えるのが、黄体ホルモン(プロゲステロン)です。高温期にあたるこの時期は、だるさや眠気により、集中力が落ちる人が増えます。加えて、むくみや便秘、お腹や頭が痛い、食べ過ぎてしまう、肌が荒れるなどの変化も現れがちです。月経前にこのような不調が起こり、日常生活に差し障る場合、PMS(月経前症候群)と呼ばれます。黄体ホルモンの働きによる症状もありますが、メンタルな症状がなぜ起きるのかは解明されていません。

<卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)>

卵巣ホルモンの分泌は、卵巣ではなく脳が指示しています

卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の卵巣ホルモンは、卵巣が判断して分泌しているわけではありません。脳の視床下部や下垂体による指令が卵巣に届いてはじめて分泌されます。視床下部は自律神経の中枢でもあり、ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、卵巣ホルモンの分泌や月経のリズムに影響することもあります。

周期や経血量など、健康的な月経が繰り返されているかが重要です

「月経が毎月来ているから安心」と思い込み、出血量や日数のことはあまり気にしないという人が多いようです。月経は、ただ毎月来ているだけでなく、正常に来ているかが大切です。目安と違っているからといって異常や病気があるとは言い切れませんが、周期日数・出血持続日数・1日の出血量が、目安から外れた状態が3カ月以上続いた場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。例えば、出血量が多すぎてナプキンとタンポンを併用しても間に合わない、出血が長い期間続くという場合は、受診しましょう。

<正常な月経の目安>

体の状態を把握するために、基礎体温を測る習慣を身につけましょう

卵巣ホルモンの状態を手軽に知る方法として、基礎体温の計測があります。基礎体温とは、最も安静な状態にあるときの体温のこと。一般的には、起床してすぐに計測します。基礎体温計といえば「口の中に入れて測るもの」というイメージがあるかもしれませんが、一晩中お腹につけておき平均値を出す基礎体温計もあります。自分に合ったものを選んでください。

基礎体温を継続的に計測して記録することで、自分の体の状態を把握でき、体調の変化に気づきやすくなります。例えば、女性の体温は、排卵を境に低温期と高温期の二相性に分かれます。二相性にならない場合は、何らかの変調を疑うことができます。基礎体温表は、月経不順や不妊症などで受診する際の重要な資料にもなります。

<基礎体温表の一例>

まずは基礎体温を測る習慣を身につけることが重要。インターネットでダウンロードできる基礎体温表もあるので、気軽に始めたい

気軽に受診できるかかりつけの婦人科を持ちましょう

卵巣ホルモンは、排卵・月経・妊娠などだけでなく、自律神経をはじめ、皮膚や骨の健康など、女性の健康にさまざまな面で関わっています。ある症状の発現には、女性の体ならではの仕組みが関わっている場合も多く、情緒不安定が気になり心療内科を受診して入院した結果、うつではなくPMS(月経前症候群)だと判明するケースもあります。

そこで、月経痛や月経不順といった月経にまつわる悩みはもちろん、ちょっとした不調が気になったときに気軽に受診できる婦人科を見つけておくことをおすすめします。診察を受け、正しい投薬指導を受ければ、多くの不調は改善できます。また、出張や旅行に合わせて月経の時期を調整したいという相談もできます。婦人科の病気は、卵巣や子宮が痛くないからといって異常がないとは限らず、おりものの状態から病気が判明する場合もあるので、気がかりなことがあれば早めに受診しましょう。

「特に気になることがないのに婦人科に行くのはちょっと…」と思う人は、子宮頸がん検診や乳がん検診に行ってみることで信頼できる婦人科を見つけるのも、一つの方法です。更年期を迎えたときにも受診する決心がつきやすく、更年期の症状を早めに軽減できるかもしれません。

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