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自律神経の基礎知識 【交感神経と副交感神経】

2017年6月23日

自律神経の基礎知識 【交感神経と副交感神経】

私たちの意志でコントロールできないのが自律神経です

神経とは、体の各部にある組織と脳をつなげるネットワークのこと。さまざまな指令や情報がこのネットワークを通じて行き来することで、体の正常な営みが保たれています。私たち人間の神経は、脳や脊髄にある中枢神経と全身にある末梢神経の2つに大きく分けられ、末梢神経には体性神経と自律神経があります。

末梢神経のうち、体性神経は運動機能などに関わっており、私たちが意識的に手や足を動かすことができることからわかるように、「動かそう」という意図によりコントロールできるのが特徴です。対して、多くの内臓器官の機能に関わる自律神経は、「今から胃を動かして消化させよう」と私たちが思ったとしても、自由にコントロールすることはできません。

よく知られているように、自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、シーソーのようにバランスをとりながら働いています。指令や情報は、自律神経のほうが体性神経よりもゆっくり伝わります。

自律神経は、さまざまな内臓器官の働きを調節しています

自律神経の中枢は脳の視床下部という場所にありますが、脳のそれ以外のさまざまな部位も自律神経と関わっていることが最近になってわかってきました。自律神経は実に数多くの内臓器官に関わる重要な神経で、心臓、肺、胃腸、肝臓、膀胱、唾液腺、内分泌腺、汗腺、瞳孔、血管などに分布しています。

交感神経と副交感神経は、体の内外の状況や部位に応じてアクセルとブレーキの役目を交代して働きます。例えば、心臓の心拍数は交感神経が活発になると増えますが、胃腸を活発に働かせるのは副交感神経です。このように交感神経と副交感神経経は、協調しながら多くの器官をきめ細やかに調節しています。しかし、汗腺や血管のほとんどは交感神経だけが支配しており、体温の調節と血圧のコントロールを担っています。

活動時には交感神経、休息時には副交感神経が活発になります

交感神経と副交感神経のうち、どんなときにどちらが活発になるかは、大昔の人間の生活を思い浮かべてみると理解しやすいかもしれません。

獲物を追いかける、外敵と戦うといった戦闘態勢にあるときは、交感神経が活発になります。遠くの獲物や敵を判別するために瞳がカッと開き、脳は興奮し、心拍数も増加。走って追いかけたり逃げたりするときに、ゆっくり呼吸をしたり食事や排泄をしたりする余裕はないので、呼吸が速くなり、胃腸の動きは抑制され、膀胱も弛緩し蓄尿することになります。

しかし、外での活動を終えて家に戻ったら、副交感神経が活発に働きます。安心しているので脳が落ち着き、食事をするので唾液の分泌量が増え、胃腸は活発に動き、膀胱も収縮し排尿することになります。

これらの状況を現代人に置き換えると、仕事をしたり緊張したりするときは交感神経が、休んだりリラックスしたりするときは副交感神経が活発になっていると理解できます。

一括コントロールの交感神経、部分的コントロールの副交感神経

交感神経と副交感神経は、同じ自律神経でも、指令の伝達経路や方法が違います。交感神経は、心臓や肺、消化器などの各器官と脊髄を通じてつながっており、たくさんの器官を同時にコントロールします。獲物や外敵を前にした場合、交感神経が全身の器官を“活動モード”にスイッチするというわけです。

一方、副交感神経は、脳や脊髄からそれぞれの器官と個別の経路でつながっており、各器官にまとめて影響を与えるというより、部分的に影響を与える場合が多いとされています。

交感神経は、脊髄から出てすぐに神経節を形成し、そこから全身の臓器および血管や汗腺を支配する。副交感神経は、脳幹部から脳神経を経て頭部から内臓に分布し、神経節は臓器のそばに存在する。また、副交感神経の一部は、脊髄を通り骨盤神経として直腸や膀胱などに分布する

ストレスを受けると交感神経にも影響を及ぼします

物事の捉え方は性格によって異なり、何をストレスと感じるかにも個人差があります。また、対人関係などの悩みだけでなく、温度や音、においといった刺激を不快に感じる場合、人によってはストレスとなります。このようなストレスは脳で感知され、自律神経や内分泌機能などに影響を与えることで、体調に変化が現れたり、睡眠や感情に影響を及ぼしたりします。

ストレスを受けると、脳からの指令により、副腎皮質から副腎皮質ホルモンが分泌されます。同時に、交感神経が支配している副腎皮質の中の副腎髄質という部分からアドレナリンなどが分泌されます。これらのホルモンには、血糖値上昇、血圧上昇、免疫抑制、胃酸分泌促進、覚醒といったさまざまな作用があります。そのため、ストレスを受け、交感神経が優位になり続けると、不調やトラブルにつながりやすくなります。

交感神経が働きすぎると、冷えやこり、胃腸の不調などにつながります

ストレスを受け続けたときに実感しやすい体調変化として、だるさや倦怠感、冷えやこり、胃腸の不調が挙げられます。

長時間の仕事やデスクワークなどで交感神経が優位になり続けると、血管が収縮し、血流が悪くなります。すると、温かい血液が全身に行き届かなくなり、冷えにつながります。同時に、血液中の老廃物や疲労物質が代謝されなくなるため、筋肉の痛みやこりを招きます。また、胃腸の働きは、自律神経によってコントロールされています。胃や腸が活発に働くのは、副交感神経が優位なときです。ところが、ストレスを受けると交感神経が優位になるので、消化吸収に影響を及ぼし、胃のもたれやムカつき、下痢や便秘などを引き起こしやすくなるのです。

交感神経優位の生活はそのほかにも、頭痛、不眠、うつ、免疫力低下など、さまざまな不調を引き起こしたり悪化させたりする場合があります。女性の場合は、PMS(月経前症候群)や更年期の不快な症状につながりやすくなります。

ストレス過多の生活には、副交感神経を活発にする時間が必要です

「リラックスするために副交感神経を優位にしましょう」とよくいわれますが、本来、交感神経と副交感神経はバランスをとりながら働くもの。副交感神経だけが優位になり続けている状態は望ましくありません。ほどよい緊張や運動といった適度なストレスにより交感神経を活発にすることも必要です。健康な心身を保つために避けたいのは、不快な刺激や悩みによるストレスです。

しかし、残業が多くいつも時間に追われている、長時間のデスクワークで体を動かす機会が少ない、職場や家庭での悩みが多いなど、現代人の生活にはリラックスする時間が少なく、心身の疲れやストレスがたまりがちです。このような状況に思い当たる人は、副交感神経を優位にする時間を意識的につくるとよいでしょう。

自分に合った方法で副交感神経を活発にしましょう

心身の疲れがとれない、リラックスする時間が少ないと感じる人は、多少のストレスを受けても健康に過ごせるように、規則正しい生活習慣を身につけることが大切です。最も重要なのは、食事や睡眠といった、基本的な生活リズムを整えること。ウオーキングなどの適度な運動でリフレッシュを兼ねた健康づくりも積極的に取り入れてください。

好きな音楽を聴いて心を落ち着ける、アロマの香りでほっとくつろぐ、趣味に打ち込む、気の置けない友人と楽しい時間を持つなど、自分なりにリラックスできる方法を見つけましょう。毎日のお風呂も、リラックスできる入浴方法を知っておけば、副交感神経を優位にするのに役立ちます。

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